2006年05月29日

無呼吸症候群、パイロットに不適

昨日の朝日新聞にこんな記事が取り上げられていました。

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無呼吸症候群、パイロットに不適 
身体検査指針に明記へ
2006年05月28日

 航空機のパイロットに一定期間ごとの受検が義務づけられている
空身体検査について、国土交通省は検査マニュアルを改正し、
運航に危険を及ぼす睡眠時無呼吸症候群(SAS)を
不適合とする方針を決めた。
03年から同様の運用がされているが、
マニュアルへの明記で制度として徹底する。

 航空身体検査は定期運送の操縦士は半年ごと、
自家用操縦士らは1年ごとに指定医で受けることが
義務付けられており、適合した証明がないと運航できない。

 SASは、03年2月に山陽新幹線で運転士が
居眠りしていた問題で注目を集めるようになった。
国交省は同3月の通達で不適合とするべき事案としていたが、
約5年ごとのマニュアルの見直しに伴って今回、盛り込むことにした。

 いったんSASと診断されても治療して症状が改善した場合は、
医療関係者ら専門家による審査会で適合かどうかを判断している。
制度化後も同じ手続きを取るという。

****************************************************

おそらく、普通の感覚なら当たり前ですよね。

私も、もちろんそう思います。

ただ、実際それが今まで、きちんとされていたのか、

という点になると、やはり、きちんとはされていなかったと思います。

かなり辛辣な記事になってしまうかも知れませんが、

実際に第一線で睡眠時無呼吸症候群の臨床をしている

師の戯言と思っていただいても結構ですので、

やっぱり書かせてください。

 

JR西日本のひかり号の居眠り事件で、一躍その名を知られるように

なった”睡眠時無呼吸症候群”ですが、

私の目からみて、この件を含めて多くの問題があると思います。

 

第1、この疾患を国土交通省が主に扱うことになったこと。
JRの事件当時、国道交通大臣(その当時は扇大臣)でしたが、
全くこの疾患を頭にないような発言でした。。残念ながら。。。

国土交通省が主体になると、当然鉄道、航空、運輸に当然その当時

通達が出されました。

でも、結局具体的な指針が出されていたわけではありません。

 

第2 多くの場合は、自己申告がメインです。

でも良く考えると、誰が、”あなたは、いびきをかきますか、

いびきが止まるといわれましたか、日中の眠気はありますか?”

という検診での質問に対して、

そのような運輸関連の従業員の方が、誰が真実を答えるでしょうか。

 

本当に、睡眠時無呼吸症候群を疑っている場合でも、

もし仕事を失う恐れがあったり、

今の立場を追われる可能性があったり、

職を失わなくても減給になる場合、貴方ならどうしますか??

 

今の日本の官僚制度の中では、通達がまずあり、

それに対して、通達に沿って、取りあえずの対策をしていれば、

あとは、結局自己責任にしてしまう、、、、

 

まあこのような形は、日本では当たり前なのかも知れませんが、

昨年のJR福知山線の事故を含め、後からでは遅いのです。

 

実際の臨床の現場では、鉄道、タクシー、パイロット、車を使う営業マン、

医師、歯科医師、システムエンジニア、弁護士、教師、というか、

あらゆる職種の方がこられます。

 

その方が、悪いのではないのです。

今回の報道でも、もし貴方がパイロットで、

自分が睡眠時無呼吸症候群なら仕事が

続けられないと言われたらどうしますか??

 

それなら、隠し続けるか、職場に内緒でこっそり受診するか、

 

ですよね。

 

でもそれでは、だめだすよね。

 

第3 根治は出来ないとしても、少なくとも、

無呼吸は各種治療でコントロールできる病気です。

 

そういった事実を、きちんと伝えた上で、これからの対策を

行わないと、魔女狩りになってしまいます。

 

私は、そうならないことを願っています。

今の日本の制度では、結局こういった通達が出てしまったら、

最後は個人の責任になります。

更にそうなった場合、結局きちんと診断・治療を受けない方が

当然出てきます。

それが、とんでもない大事故に繋がってしまう可能性があるのです。

第4 眠気=事故=睡眠時無呼吸症候群だけではないことです。

睡眠不足や交代勤務、時差など睡眠衛生への対策が基本になければ、

単に睡眠時無呼吸症候群が犯人探しになります。

 

やっぱりそれではダメですよね。

最終的に、大事故がおきないような対策になってくれればいいのですが、、、

 

それでは。。

 

 

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トラックバック一覧

1. 運転免許の更新  [ 踊る大肥満線 ]   2006年06月04日 23:22
SASは治療せず放置すると、車の運転にも危険を及ぼすことは、おいらの記事の中でも紹介しました。 危険といえば、別にSASに限った話じゃなく、「睡眠障害」を引き起こす原因(病気)すべてに当てはまる話だと思います。 また、一時期話題になった、糖尿病患者に対する...

コメント一覧

1. Posted by 大臣。   2006年05月29日 07:29
すべての運転免許に、1泊入院して睡眠時のデータをとることを必須にしたら如何でしょう?
結果が悪くて免許がなくなる方はどのくらいいますかね?汗
素人考えでスイマセン
2. Posted by ayayan   2006年05月29日 08:03
院長先生☆おはようです^^
本当に深刻な問題ですよね。病気が発覚したら職を失うなら、隠そうと思う方も多いですよね。国が何とかこの病気を理解した上で、対策を考えて頂きたいものですね。難しい問題ですね。
3. Posted by 院長   2006年05月29日 08:36
大臣さま
検査を受ける方の数があまりにも多すぎる
検査を出来る施設が限られている
費用の問題

などなどなかなか難しいです。
最近の報告では成人男性の13%が
睡眠時無呼吸症候群の可能性あり
ですから相当な数になります。

難しい問題です。ほんと。

それでは。。
4. Posted by 院長   2006年05月29日 08:38
ayayanさま
その通りなんです。
しかも眠気=事故=睡眠時無呼吸症候群ではないので、睡眠時無呼吸症候群でなければそれで良いというものでは当然ありませんから。
いつもこのブログで書いている睡眠不足も同じなんですからややこしいです。

ようは睡眠ということにきちんと目を向けるところから始めないとだめなんでしょうね。

コメントありがとうございます。

それでは。。
5. Posted by hirahira   2006年05月29日 13:57
自分に火の粉がかからなければいい、ことなかれ主義が、悲惨な事故を起こし罪もない善良な人たちが犠牲になってしまうのでしょうね。。
国民ひとりひとりが、いろいろな問題のあることを自覚し、厳しい目をもって当たらなければいけないのかもしれませんね。
ひとつの大きな問題でもあるSASについても、対策を考え実行しなければ、それで犠牲になった方達が報われないような気がいたします。。
海外ではどんな対策が行われているのでしょうか?それとも、海外ではあまり問題になっていないことなのでしょうか?
6. Posted by 院長   2006年05月29日 14:19
hirahiraさま
そうですね。
ほんとうに。
日本人は、喉元過ぎれば、人の噂も、、
とか、どうしてもその時だけになってしまうがちです。

外国では、例えば2種免許には、SASの方は治療をうけていないとだめ、という所もあるようです。厳密な対応は実際は難しい面もありますね。

コメントありがとうございます。

それでは。。
7. Posted by 宮川真衣   2006年05月29日 17:27
うちのおじは全日空に努めておりました
何かの検査に引っかかり 
なりたかったパイロットにはなれませんでした
厳しい検査がいろいろあるようですが
睡眠時に関してはまだまだこれからでしょうね・・・
人の命を預かる大変な仕事
万全の体調で日々仕事をして欲しいですね
8. Posted by 院長   2006年05月29日 17:52
宮川真衣 さま

そうですね。
我々の目から見てもかなり厳しい健康管理をパイロットはされているようです。
確かに生命を扱う大事な仕事ですから、SASに限らず万全の体調で乗務されることを希望します。

いつもコメントありがとうございます。

それでは。。
9. Posted by かえる   2006年05月29日 18:58
オイラも毒吐いて良いっすかぁ?

日本の考え方がダメですよ!!
「何かが起きてから、こうしましょう!!」
そんなこと、誰でも考えられるでしょ?

起きる前に対処法を出さないとね・・・。
10. Posted by 院長   2006年05月29日 19:06
かえる さま
毒吐き、大歓迎です。
ほんと、そうですよね。
何に限らず、、、。

困ったものです。
なにか良い知恵はないか、、、。

課題です。

それでは。。
11. Posted by あべっち   2006年05月29日 21:53
今日、mixiの掲示板で、車の免許更新時に、無呼吸かどうか自己申請する事が話題になっていました。
大方の予想どおり、自己申告する人は少なそうです。
「正直者はバカを見る」的な空気がすでに流れ初めているような感じがします・・。
やばい、やばいっすよ。
この件は、おいらも警察に聞いたりして情報を集めようと思ってます。
12. Posted by    2006年05月29日 23:26
ホンマですよね・・・今まで気にもしてませんでしたが考えるとホンマに怖い事ですもんねぇ・・・(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
13. Posted by 院長   2006年05月30日 00:11
あべっちさま

そうなんです。
運転免許の申告は結局自己申告なので、
「正直者はバカを見る」か、虚偽申告した場合は、自己責任です。

責任を最後は個人にもっていくしかないのが、
今の体制なんだと思います。

問題ありなんですが、
単純にはいかない難しい課題が山積みです。

是非今後もよろしくお願いします。

追記 mixiのSASサイト覗いてます。時々。

それでは。。
14. Posted by 院長   2006年05月30日 00:14
姐 さま

今日はお早いですね(笑)

でもほんとそうなんですよ。
私は、普段でも怖くて信号待ちでも電信柱の影に隠れてます。パイロットだけの問題ではないのです。考え出すときりがない、、、、。

どうしたらよいのか。。。

でもそれを考えていくのも、我々の課題でもあります。

いつも本当にコメントありがとうございます。

それでは。。
15. Posted by H2   2006年05月30日 01:27
成人男性の13%が眠時無呼吸症候群の可能性あり!!ですか・・・
ちょっと不安になってしまいました。

睡眠不足なのかなあ?
忙しい時は全然眠くないのですが、ちょっと時間が出来たりすりとすぐ眠くなりますわ・・

大丈夫なんでしょうかね?
16. Posted by 院長   2006年05月30日 06:09
H2さま

そうなんですよ。
詳細は
http://blog.osaka-sleep.com/archives/50361844.html
をご覧ください。
でもまずは、睡眠不足解消が一番です(笑)

それでは。。
17. Posted by あべっち   2006年06月04日 23:21
すいません、こちらの記事にリンク張りましたので、トラックバックさせてくださいませ・。
18. Posted by 院長   2006年06月04日 23:36
あべっち さま
フォローしてもらってありがとうございます。
警察の対応は予どうりです。

本当にどうすればよいかの対策を考えることが重要ではなく、対策をとったこと、が重要な、日本の問題点が出てしまっているのかも、知れません、、。

でも問題は、責任のなすりつけ合いではないですよね。。

我々医療者も出来ることを考えていきます。


あべっちさま、
本当にありがとうございました。。

それでは。。

これからもよろしくお願いします。

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