睡眠時無呼吸症候群(診断)
2007年01月07日
<睡眠時無呼吸症候群>「疑い」86%見逃し 自己診断基準
1月4日の毎日新聞の記事です。
久々に専門分野の記事です。
非常に大事な問題なので取り上げました。
************************************************
「睡眠時無呼吸症候群:「疑い」86%見逃し 自己診断基準」
日中に病的な眠気に襲われる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の
患者が、精密検査の対象者を選ぶために国が職業ドライバーなどに
推奨する自己診断型の眠気指数テスト(ESS)をすり抜けてしまう
ケースが多発していることが、
谷川武・筑波大大学院助教授らの調査でわかった。
医師の指導による簡易検査で
「SASの疑いが濃い」とされたトラック運転手の86%が、
ESSでは「疑いが薄い」との結果が出ていた。
簡易検査で「疑いが濃い」とされた人の大半は、
最終的にSASと診断されている。
SASが原因と疑われる交通事故などが多発する中、
抜本的な対策が急務となりそうだ。
(続きはこちらへ)
************************************************
ESSは、複数の設定されたシチュエーションで眠くなるかどうか
4段階から選び、主観的な日中の過度の眠気を測定する尺度です。
最近日本語の改訂版が発表され、従来のものより精度が
上がっているようですが、
(http://www.i-hope.jp/tool/ess.html)
****興味ある方は上のリンクページからご自身の実際のESSスコアを
出してみて下さい。
11点以上が、”病的な眠気がある”と判断されます。
それでも、運転事業者のスクリーニングに用いるのは、
この記事どおり、非常に問題ありだと思っていました。
事業者にとっては、簡易検査を用いるのは費用がかさむ事、
また国土交通省の指針がこの尺度を用いて
ふるいわけをすることが示されていたことから、
当然のごとく、ESSが用いられていたようです。
ただ、実際伝え聞く情報によると、JR福知山線の運転士は、
SASであった可能性は事故当時より指摘されていましたが、
SASであった可能性をJR西日本が否定した根拠がESSであったようです。
私は、福知山線の事故を聞いて、彼のそれまでのオーバーラン歴や
追突事故歴、肥満体型であったらしいことから、
彼が睡眠時無呼吸症候群であったのでないか、
過去にそのために、いくつかのオーバーランを含めたミスをしたのではないか。
更にそのことが、精神的に追い詰められていた彼が、事故当日の状況で
事故を起こす要因の一部になっていたのではないか、と少し疑っていました。
本当に彼がSASであったのか、なかったのか、真相はもう分かりませんが、
やはり、鉄道・航空・様々な運輸関連の従事者に対する
SASの早急な適切な診断は急務だと思います。
私のブログ繋がりのSAS患者である”あべっち”さまが、
この件について、患者の視点から
非常に冷静でするどい異見を記事にされています。
http://debudebu-708.jugem.jp/?eid=442
毎日新聞は、この記事の同日、そして翌日特集記事を載せています。 この記事の効果かどうかわかりませんが、国土交通症は4日、 ただ気をつけないといけないのは、”眠い=睡眠時無呼吸症候群” ではないと言うことです。 一番多い運転業務に携わる方の眠気の問題は、実は、病気ではなくて、 睡眠不足や、交代勤務による不適切な睡眠にあります。 今回の毎日新聞の報道をきっかけに、適切な睡眠時無呼吸症候群に対する 診断が広がる可能性があるのは、よいと思いますが、 でも実際、睡眠不足で運転している 運転士、タクシードライバー、トラック運転手などが沢山います。 睡眠時無呼吸症候群の診断だけでなく、 こういった不適切な睡眠しか取れない状況である勤務形態に対する 行政の関与も絶対的に不可欠だと思います。 堅苦しい記事で申し訳ありませんが、このあたり、 今後の日本にとってとても大事な分岐点だと思い 長文の記事にしてしまいました(^_^;) ここまで読んで頂いた貴方、、!!!! ありがとうございます。 今日のおまけ
「睡眠時無呼吸症候群:重症の自覚なく 検査拒む会社も」
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070104k0000m040070000c.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070104-00000021-maip-soci
<睡眠時無呼吸症候群>自己診断テストに限界 民間機関調査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070105-00000053-mai-soci
ESSをふるいわけに用いる指針を
機器での検査を検討する方針を固めたそうです。
<睡眠時無呼吸症候群>機器での検査を検討 国交省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070105-00000006-mai-pol
今年の元旦は暖かかったですよね。
元旦のいつもの散歩コースで撮った写真、まるで春ですよね。
地球温暖化が心配です。。(^_^;)
2006年02月07日
睡眠時無呼吸症候群の方はどれ位いるの?
今日は絶対このニュースです。
これは私自身が感じている印象とかなり一致します。
従来睡眠時無呼吸症候群は、男性で2-4%などど報告されていました。
それでも本当にそうか、という正しい疫学データーはありませんでした。
それでも小規模なデーターでは15%程度だという報告は出ていました。
開院後約4000名の患者様を診療させていただき、
その中でやはり多くの睡眠時無呼吸症候群の診断をしてきました。
我々のクリニックに無呼吸を主訴に受診される方の95%は
睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
是非下記のニュースを見て下さい。
貴方自身、そして貴方の家族、
もしかしたら貴方のご子息もそうかもしれません。
****************************************************************
男性13%は無呼吸症候群
京大助教授調査の推定値
成人男性の3分の2は睡眠中に呼吸停止を繰り返して熟睡できない睡眠呼吸障害(SDB)で、日中も過度の眠気で生活や仕事に支障をきたす睡眠時無呼吸症候群(SAS)は13%という推定値を角谷寛京都大助教授(睡眠科学)らが6日までにまとめた。
大阪府の会社の男性社員約180人を対象にした調査に基づき推計。勤務時間や仕事内容は比較的規則的で、結果は一般化できるという。
過去の調査に比べ、SDBは3倍近く、SASは3−4倍。角谷助教授は「国内で数百万人の男性がSASになっている恐れがある。交通事故を起こす可能性が高いとの報告もあり、対策が必要だ」と話している。
角谷助教授らは、1人当たり1週間かけて問診をしたり睡眠の様子を調査。1時間の睡眠中に10秒以上呼吸が停止したり低呼吸だった回数を調べると、5回未満の正常者は33%だけだった。
(共同通信)
****************************************************************
開業して多くの患者様を診療してその中での実感は、
今回の報告にはありませんが、女性にも多々居られると思われます。
更に言えば、
若くて痩せてる女性にも睡眠時無呼吸症候群の方は居られます。
是非もう一度あなた自身、そして貴方の周りの方がそうでないか
是非見つめなおしてみては如何でしょうか。
人気ブログランキングに参加中です。できればここをクリックして下さい。
2006年02月01日
睡眠時無呼吸症候群の診断(精密検査:終夜睡眠ポリグラフ検査)
先日は、睡眠時無呼吸症候群の診断で郵便検診などで
使われてるパルソックスについて書いてみましたが、
今日は精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査といいます)
について書いてみます。
実際の検査はこんな感じです。
http://www.osaka-sleep.com/PSG.html
我々のような専門クリニックでは、原則として診断のためには
1泊入院をしていただき、専任の臨床検査技師が一晩中検査
の状態をモニターして検査を行っています。
最近は検査機器はコンピューター化され、結果も数分で
コンピューターが出してくれます。
検査機器メーカーはこのデーターは信頼できると説明しています。
ところが、そうではない場合が多々あります。
現状ではどうしても脳波(睡眠中の眠れているかどうかなど)
の解析はコンピューターは人間には敵いません。
ですので時としてとんでもない結果を出してきます。
明らかに誤診につながる結果が出てくる場合もあります。
そのため結果の解析には、膨大な一晩中の検査データーの
目視での解析(以下マニュアル解析)が必要です。
大変な労力ですが、正しい診断にはこれが必要です。
ただそのためにはとても労力が要ります。
マンパワーだけでなく経験の豊かな検査技師による解析、
適正なデーターを得るための終夜にわたるモニター、、
何時間もかけて一人の患者さんの結果をマニュアル解析する、、
本当に大変です。
ところが同じ精密検査でもこのような体制で検査をしているところは
非常にわずかです。
おそらく大学病院でもやれていないところのほうが多いと思います。
一晩中モニターして、一人の患者様のデーターを何時間もかけて
マニュアル解析をするのは大変です。
でも正しい診断には残念ながらこれが必須です。
同じ終夜睡眠ポリグラフ検査を受けられた場合でも、
モニターをせずにつけたままにしている所や、
結果の解析をコンピューターの自動解析に頼っているところ、
では時に結果を見誤る可能性があります。
ただ受診をしようと思った場合
どこが、正しい体制で検査をしているか見極めるのは実際大変です。
そのような情報は多くは開示されていません。
ただ専門施設のHPをみているとそのような体制でやっているところは、
そう記載しているところもあるので、このあたりがひとつ判断材料でしょうか。
また一晩止まった翌朝すぐに結果がでる、というところは、
マニュアル解析で結果を出していない可能性があります。
(中には朝から2-3時間かけてマニュアル解析をして
午前中に結果を出しているところもありますが)
目視解析をしているところでは、
通常は、1-2週間後に結果を説明しているところが多いと思います。
同じ検査を受けてもかなり差があるのが実情だと思います。
経験豊富な臨床検査技師はまだ日本では少数です。
この医療はそういう意味でもこれからの医療だと思いますが、
情報化時代ですので医療を受ける側もある程度そのあたりを
知っておいて受診される場合の参考にしていただければ幸いです。
2006年01月28日
睡眠時無呼吸症候群の診断(パルソックス)
今日は睡眠時無呼吸症候群の診断について書いてみます。
ご主人や、彼・彼女がいびきがひどく止まっている、
”もしかしてこれって睡眠時無呼吸症候群?”
と思ったとき、どうしたらよいでしょうか。
私の所のような、専門クリニックを含め病院って結構敷居が高いですよね。
なにされるんやろう?
痛いことされるんやろうか?
こんなことで病院へくるな、と言われないか?
お金はいくらかかるんやろう?
なんか怖いよな、、、、。
とか、今までにも様々な意見も聞きました。
正確に診断するためには、それでもやっぱり専門医療機関
の受診ををお勧めしますが、受診を考えてインターネットで
検索されていると以下のようなものが見つかってくると思います。
宅配検診や、郵便検診などと言われるもので、
いくつかの会社が行っています。
また最近では人間ドッグのオプションや
病院の外来でされている場合もあります。

これってどうなんでしょう?と思いませんか。
この検査はパルスオキシメーターと言って、
ご本人の睡眠中の酸素と脈拍を測定するものです。
無呼吸があれば、その結果低酸素がおこるので、
酸素状態から無呼吸の有無を推測するものです。
この検査は有用でしょうか。
正解は”yes"
ですが”no”でもあります。
もし貴方が、重症の睡眠時無呼吸症候群で、
この検査ですぐに病院へ受診するように、
と言われた場合は、ほぼ間違いなく
治療を要する睡眠時無呼吸症候群の場合が多い
と思われます。
ただ
経過観察と言われた場合や、
大丈夫と言われた場合は、注意が必要です。
この場合重症の睡眠時無呼吸症候群である可能性
は否定できず、
家人からの無呼吸の指摘や日中の眠気がある場合は、
やはりこの検査にとどまらず
精密検査を受けることをお勧めします。
アメリカでは、この検査を睡眠時無呼吸症候群の
診断に使用することは適切ではないとされています。
私の印象では、睡眠時無呼吸症候群の診療経験が
豊富な医師がこの検査を行う場合は有用性が
それなりに高いと思いますが、
そうでない場合(結構多いのです)は
誤診の可能性が高まると思います。
睡眠時無呼吸症候群を含めた睡眠医療は、
まだまだ残念ながら未成熟な医療です。
医療側の体制整備も充分ではありません。
その中で、正しい方法を模索していくしかないのが
実情ですが、これが多くの患者さんに迷惑をかけてしまう
可能性があるのも現状です。
ただ我々がメインで行っている睡眠ポリグラフ検査
を疑いのある方全員に行うことも現実的ではありません。
どのような方法がよいのか、
これから医療者側で検討していく必要がありますが、
上記の郵便検診やパルソックス検査を受けられた場合、
このような問題があることを理解していただきたいと思います。

